君を想うと~triangle love~
「しゅーちゃん…」

「ごめん、伊織。来てくれてありがとう。
マジで…嬉しい。」






私の左手をギュッと掴んで。
しゅーちゃんはホッとしたように隣に座る。






「祐吾!とりあえずビールで。」

「…はいはい。」







これから修羅場が待っているというのにノーテンキにドリンクを注文するしゅーちゃん。

祐吾さんは呆れたように笑うとサーバーのある方へ消えていった。








「ごめんな、伊織。
…待った?」


「ううん。私もついさっき来たとこ。」


「…そっか。
それならよかった。」






安心したようにしゅーちゃんは私の顔を見て笑う。









しゅーちゃんの手は私の左手を包みこんだまま離さない。









この熱くて大きな手があの人を抱いたのかと思うと堪らない。


ドロドロした感情が私の中にグルグルと渦巻く。









だけど…

離したくない。

この人を失いたくないと思う気持ちも…

やっぱり本当なんだ。








「伊織…。
俺がお前にしてたこと、謝って済む問題じゃないのはわかってる。」


「…ん…。」


「だけど…。
止められなかったんだ。」








そう言って。

しゅーちゃんは苦しそうに私を見つめた。
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