君を想うと~triangle love~
私の頬に手を当てて。

その手をスルリと離して、私の髪に指を絡める。






「ゴメン。俺…、オマエのコトは我慢できなかったんだ。」







しゅーちゃんが苦しそうにそう呟く。







「俺の置かれてる状況じゃあ、苦しめるだけなのも、幸せになんてしてやれないのもわかってるんだけど……。」





そう言って。

しゅーちゃんは目頭を抑える。







「…なんでだろうな。
幸せになんてしてやれないのに、お前を失いたくない。」



「しゅーちゃ……。」






苦しそうな彼の声を聞いて。

私まで苦しくなって。

彼の空いている手をギュウッと握りしめると。








「…好きなんだ…伊織。
忘れ方があるなら教えてくれ。

気が狂いそうなくらい…オマエが好きだよ。」








ツゥ……








しゅーちゃんの頬に流れ落ちる銀色の雫。










「苦しいよ。
オマエが好きなだけなのに。」









しゅーちゃんはそう言って。

涙を拭うと両目を隠した。







ワタシは…バカかな。

騙されてるだけなのかな。

都合のいい女なのかな。








彼の涙で気づいてしまう。

彼の…深い愛に。
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