君を想うと~triangle love~
「伊織。
俺、亜美とは別れるから。
時間がかかるかもしれないけど…待っててくれないか??」




ギュっ、と。




痛いほどに締め付けられる私の手のひら。







“伊織~!!”








あの夏の日。
私を助けてくれたしゅーちゃん。

先輩達から私を守るように送り迎えをしてくれたしゅーちゃん。

好きだと伝えたあの音楽準備室。








別れの原因はサイアク。

だけど…

イヤなことばっかりじゃなかったよ。




しゅーちゃんと一緒にいられるだけで幸せで。

楽しかったことの方が多かった。







再会してからも、そう。







しゅーちゃんのことは忘れようと思ってたのに、また同じ人に恋をした。

自分でもそんな自分に呆れてしまう。






私は…

結局、何度逃げてもこの人の前に戻ってきてしまうのかもしれない。



きっと何度逃げても同じことを繰り返す。






それなら…

この手を取ってもいいんじゃないかな。
同じことなんじゃないかな。







そう思えて。

彼の手を握り返そうとしたその時。







ドンっ!!







私たちの真ん中に勢いよくビールが置かれる。






「秀人。お前その言葉の意味よくわかった上で言ってんだろうな。」









目の前には…

鬼のような形相で私たちを睨む祐吾さんがいた。






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