君を想うと~triangle love~
④ 幸せの形って
カツーン。
遠くで聞こえるビリヤードのボールの音。
祐吾さんが去ってから。
私たちは何も言わずに目の前にあるキスチョコとビールをただ見つめている。
“言わずに”
じゃないかな。
きっと何も“言えなかった”んだ。
ただ私たちはお互いが好きで。
倫理なんて無視していいくらいに好きで。
私たちはそれさえ伝えればお互い幸せになれると信じてた。
ねぇ、しゅーちゃん。
私たちはなんて幼かったんだろうね。
好きな気持ちだけでどこまでだっていけると思っていた私は…
どこまでも子どもで幼くて。
祐吾さんが言ってくれた真実に気づかないフリをしてた。
きっと…しゅーちゃんもそうなんだ。
こちらを見ずに、何かを考えこむように一点を見つめるしゅーちゃんを見て…。
そう…思った。
楽しそうに笑う恋人たちの声。
クールに響くシェーカーの音。
その全てが遠く聞こえて、現実味がなくなって来たとき。
「伊織。」
ふいに。
しゅーちゃんが私の名前を呼んだ。
遠くで聞こえるビリヤードのボールの音。
祐吾さんが去ってから。
私たちは何も言わずに目の前にあるキスチョコとビールをただ見つめている。
“言わずに”
じゃないかな。
きっと何も“言えなかった”んだ。
ただ私たちはお互いが好きで。
倫理なんて無視していいくらいに好きで。
私たちはそれさえ伝えればお互い幸せになれると信じてた。
ねぇ、しゅーちゃん。
私たちはなんて幼かったんだろうね。
好きな気持ちだけでどこまでだっていけると思っていた私は…
どこまでも子どもで幼くて。
祐吾さんが言ってくれた真実に気づかないフリをしてた。
きっと…しゅーちゃんもそうなんだ。
こちらを見ずに、何かを考えこむように一点を見つめるしゅーちゃんを見て…。
そう…思った。
楽しそうに笑う恋人たちの声。
クールに響くシェーカーの音。
その全てが遠く聞こえて、現実味がなくなって来たとき。
「伊織。」
ふいに。
しゅーちゃんが私の名前を呼んだ。