君を想うと~triangle love~
後に残されたのはしゅーちゃんの飲みかけのビールに甘いキスチョコ。




本当は…今すぐ彼の背中を追いかけたい。

しゅーちゃんが好きだって伝えたい。

このまま…あの手を取って一緒に堕ちていければどんなに楽かわからない。






だけど…

私たちはもう大人なんだ。






社会的地位

社会的名誉


いろんなものが私たちの上には渦巻いてる。









「ま…、アイツはバカみたいにまっすぐなヤツだから、後先考えずに行動しちまうけど…。
伊織ちゃんはよく考えた方がいいよ。」






はあ~とため息を吐きながら。

祐吾さんは私の目の前に透明なカクテルをポンと差し出す。





「ま…、これでも飲んで?」




ジンライム…かな??





だけどそれにしてはグラスの中にライムは入っていない。



不思議に思ってクンクンと匂いを嗅ぐとグラスからはライチの甘い匂いが広がった。





「ディタソーダ。
ライチリキュールだからオンナノコには飲みやすいよ。」






と、祐吾さんは笑う。

つられるように私も笑うと祐吾さんは困ったような顔をしてこう言った。






「ホント…
伊織ちゃんがもっとイヤな女だったらな。

今すぐ水ぶっかけて“今すぐ別れろ”って言ってやんのに。」




…と。
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