君を想うと~triangle love~
「イイ女だね。高宮は」





桐谷慎はニッコリ笑うと私を背中からやさしく抱きしめた。






「愛してるよ、高宮。」







そう言って。
桐谷慎は私のほっぺたに自分のほっぺたをピタンとくっつける。








ギュッと私が逃げないように。
強く強く抱きしめてくれる桐谷慎。






「元カノの次にでしょ?」







そんな天使の桐谷慎に悪魔の言葉を呟くと。









「……。比べろって言われるとわかんない。
だけど、高宮を心の底から愛しいと。この手を離したくない…とは思ってるよ」









と更に腕の力を強めた。













そうやって。

どれくらいの時間が過ぎただろう。









桐谷慎はゆっくりと私を抱いていた腕を離すと私の顔をじっとみつめる。









その顔はいつもみたいに






ワガママで

気まぐれで

俺様で

気の強い






悪魔なアイツの影はどこにもない。









優しく慈愛に満ち溢れた天使のような瞳をして。
桐谷慎は私の頬に右手を当てる。









「高宮とイブは…。顔はそっくりだけど全然違うな。」


「…え…?」








そう呟くと。
桐谷慎は見てるこっちが切なくなるくらい悲しい表情で私の顔をじっと見つめる。









「俺…イブのコトは大切すぎて、好きになることが怖かった。

俺の真っ黒な欲望がアイツを汚すんだと思うと、それだけで吐きそうだった。」


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