君を想うと~triangle love~
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
カフェからの帰り道。
俺たちのマンションに到着すると
「俺、今日は帰る。」
とだけ告げて、俺は自分の家へ戻った。
なんか龍やイブとワイワイ騒ぐ気分でもなかったし。
なんかいろんなコト考えたくて。
バイバイも言わず、目も合わせずに玄関の扉を開ける。
イブは何か言いたそうな。
何か不安そうな顔をしていたけれど。
悪魔な俺はそれには気づかないフリをして自宅に戻った。
家に帰るとお気に入りのソファーの上でゴロンと大の字に寝そべる。
物音一つない、
人気のない、
生活感のないこの部屋。
父さんも母さんも俺を愛してくれてるのはわかってる。
だけど…。
いつも部屋は真っ暗で一人ぼっちの俺。
そうじゃないってわかってる。
わかってるけど俺は小さな頃から“捨てられた”って感覚から逃れられずにいた。
一人でカギを開けて。
一人でおやつを食べて。
夜に眠る前も1人。
朝目覚めた時も一人ぼっち。
だから…、憧れた。
お兄ちゃんがいてお母さんがいてお父さんがいる、あったかいイブの家庭に。
このあったかい家庭で育ったイブだから好きになったのか、イブ自身を好きになったのかは未だによくわからないけれど…。
俺はあの部屋にいるたびに思ってた。
“俺もこの一員になりたい”
って。