君を想うと~triangle love~
だから…、怖い。







アイツに触れて

アイツに気持ちを打ち明けて。







拒まれて、拒否されて。






あの、あったかい場所にもう戻れなくなるのかと思うとゾッとする。









イブも欲しい。

春の日だまりみたいにアイツを取り巻く、家族も欲しい。







何も傷つかず失わずにその2つを手に入れる…って奇跡に近い気すらする。






好きなオンナと戻る場所。





その2つが同じだなんて…。

恨むよ、神様。












まぶたの上に右腕をのっけて。

ゴロンと横になって。







そうやったまま、どれくらい時間が過ぎただろう。









カチャリ








と、遠くで扉を開ける音が聞こえる。











「慎…ちゃん??」











扉を開けたのはイブ。

なんだか不安そうな声で俺を呼びかける。








「何?」








身動き一つせずに返事をすると、イブはオドオドしながらこう言った。








「あの…。
慎ちゃん何か怒ってるの?」





と。








「別に?
怒ってないよ?」





体勢はそのままで。
フッと鼻で笑いながら答えると





「慎ちゃん。
…どうしてウソつくの?」





俺の顔の真ん前に腰を降ろして。
イブは俺の手をギュッと握る。






「何か私、慎ちゃんにイヤなコトした?
気づかない内に慎ちゃんを傷つけてしまってたなら…謝りたいの。」





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