君を想うと~triangle love~
怒ってる?

傷ついてる?









この気持ちの理由を一言で言うのは難しい。







怒ってる、なんて全てを赤に染め上げるような攻撃的な気持ちじゃない。

傷ついてる、なんて安っぽい言葉じゃない。





この気持ちを言葉にできるヤツがいるなら、教えて欲しい。









「怒ってもないし、傷ついてもないよ。
わかったら出て行って。」





イブ。

俺は好きなオンナにこれ以上、情けない姿は見られたくない。






自分でも驚くほど冷淡な声。




そんな俺を見て、イブは諦めて。
尻尾を巻いて逃げていくだろうと思ったのに。







「じゃあ…。
どうしてそんな顔してるの?」








と笑うと。

イブはフワッと真綿でくるむように優しく。いとおしむように優しく俺を抱きしめた。








「慎ちゃん、何もないならどうしてそんな顔してるの。」









そう言って。

まぶたの上に置いていた左手をそっと外す。






きっと俺は酷い顔をしていたんだろう。

イブは俺の顔をみて、一瞬表情を固くしたけれど。


「やっぱり。」


と呟いてフンワリと微笑むと、俺の頭を軽く撫でた。









イブ。

お願いだから放っておいて。







「…イブには関係ないでしょ?」


「どうして?」


「イブに言ったら何かが変わるの?」


「わからない。
だけど、私は慎ちゃんのことが好きだから助けてあげたい。
慎ちゃんの荷物を降ろすお手伝いができるなら…。手伝ってあげたいと思ってるよ??」




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