君を想うと~triangle love~
俺のポケットの中で、ギューッと力を込めて握られる俺の手のひら。



「認知って…何?慎ちゃん。」


俺の手を握りながら不安そうに俺を見つめるイブ。




「あ~…っと、なんでもないよ。」

『慎っ!?』






認知なんて…今さらどうでもいい。

親としてきちんとしてやりたいって親父の気持ちはわかる。

だけど…今さらなんだ。

そんな紙切れ1枚の絆なんていらない。

父さんと母さんが俺を愛してくれているなら…それでいい。





ポケットの中のイブの手を握り返して



「ゴメン、父さん。
俺は行けない。」



と携帯を耳から離すと。



『慎?!待ちなさい!!』



大音量の父さんの叫び声が携帯から聞こえてきた。






…プッ……。







携帯の通話終了ボタンを押して。





「帰ろう?イブ。」






アイツの暖かい手を握り直して微笑むと。




「ホントに…それでいいの?慎ちゃん……。」





いつもとは違う強い目をして。

イブはまっすぐに俺を見つめた。







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