君を想うと~triangle love~
「しゅーちゃん……。
ゴメン、ごめんなさい……。」

「…いやだ、伊織。
俺は諦めたくない。」

「しゅーちゃん…。」

「好きだよ、伊織。
伊織のことがすげぇ好きだから…諦めたくねぇ。」



そう…
きっぱりと言い切ると。


伊織は…泣いていた。




こんな俺を見て泣いていた。







なんで泣くんだよ。

やめてくれ。



俺はお前を泣かせたいワケじゃないのに。

俺はいつも最後の最後で伊織を泣かせてしまう。




最後の最後で幸せにしてやることが俺にはできない。





頼むから。
頼むからその真実を俺に気づかせないでくれ。







手のひらで両目を隠して。

目の奥でこぼれだしてしまいそうな熱いものを必死にこらえて言葉をつなげると





「しゅーちゃん。
私、しゅーちゃんのコトが好きだよ…。
だけど……違うの。」






伊織は俺の空いている手をギュッと握りしめて。

残酷な言葉を俺に伝えた。




< 433 / 468 >

この作品をシェア

pagetop