君を想うと~triangle love~
―ヒドイ女。
初めて伊織のことをそう思った。
「私…しゅーちゃんが好きだよ。だけど…ダメなんだよ。」
俺のコトを傷つける伊織に初めて憎しみを感じた。
「…は?意味がわかんねぇ。
何が言いたいのか、ハッキリ言えよ!!!!」
声を荒げてアイツを睨みてけると。
アイツは怯みもせずに
俺の目を真正面から見てこう言った。
「ごめんなさい…私……、桐谷慎が好きなの。
彼が…欲しい……。」
そう言った伊織の顔は見たこともないくらい、凛として大人びていて。
いつも俺に見せるあどけない、子どもっぽい表情はどこにもなかった。
「しゅーちゃんといると好きすぎてツラかった。
嫌われたくない、もっと好きでいて欲しいって…どんどん欲張りになっちゃうの。」
そう言って。
伊織はまた涙をこぼした。