君を想うと~triangle love~



―ヒドイ女。



初めて伊織のことをそう思った。





「私…しゅーちゃんが好きだよ。だけど…ダメなんだよ。」





俺のコトを傷つける伊織に初めて憎しみを感じた。




「…は?意味がわかんねぇ。
何が言いたいのか、ハッキリ言えよ!!!!」






声を荒げてアイツを睨みてけると。

アイツは怯みもせずに

俺の目を真正面から見てこう言った。










「ごめんなさい…私……、桐谷慎が好きなの。
彼が…欲しい……。」









そう言った伊織の顔は見たこともないくらい、凛として大人びていて。


いつも俺に見せるあどけない、子どもっぽい表情はどこにもなかった。







「しゅーちゃんといると好きすぎてツラかった。
嫌われたくない、もっと好きでいて欲しいって…どんどん欲張りになっちゃうの。」







そう言って。

伊織はまた涙をこぼした。



< 438 / 468 >

この作品をシェア

pagetop