君を想うと~triangle love~
「………わかった…よ……。」
俺はロビーのイスにドスンと腰を落として。
「お前は…、お前のやりたいように生きればいい…。」
絞り出すように
やっとのことでそのセリフを口にして。
伊織の手をそっと離した。
「伊織。
……部長の側にいるのは大変だぞ?」
「うん…、わかってる」
「あの人…超ドSだぞ?」
「フフッ。…知ってる。」
「俺…隣の席でちょっかいだすかもよ?」
「大丈夫。
形が変わったとしても、しゅーちゃんが私の大切な人だっていうコトに変わりはないから。」
そう言って。
伊織はふんわりと春の日だまりのように笑う。
ああ…。
俺が好きな伊織の顔はやっぱりこれだ。
伊織を見守ってやることができるなら。
伊織のこの笑顔を一番近くで見守ってやることができるなら。
それも…悪くないと思えた。