神よ、我らとともに
「ではジャッセル。我々も退く」
「了解致しました。退軍の指揮は私が務めましょう」
「あぁ」
そう返答するや否や
隊長はマントを翻して立ち上がり、馬に跨って手綱をとった
「私は先に帰って大臣に目通りを願う」
はっ、という掛け声と共に鞭のしなる音が響く
馬上から改めて戦場を見渡すと、その惨状がよく見て取れた
自分の率いる隊が
辺り一帯に立ち込めるどす黒い煙に飲まれるようにして視界から消える
―――急がねばならない
ただその一心で
ノエインは馬を走らせた
軍は副隊長であるジャッセルに任せておけば
まず問題はない
「はっ」