神よ、我らとともに
†第一章†
森の木々を掻き分けるように
歩いていたその男、クロードは
やっとのことで拓けた場所までやって来た
夕日がもうすぐ地平線に沈もうとしている
燃えるように赤く染まった天は実に綺麗だった
しかし、同じように夕日の光に照らされている筈の大地は
酷く醜い悲惨な様であった―――
「これ程までとは……」
少し目を見開いて
崖の下に広がる景色を見下ろすと
人が、人の死骸が転がっていた
その傍らでは血がてらてらと怪しく光っている
「……全てうちの軍の者、なのか?」
崖にしては落差が少ないせいか
身体に当たる風は生暖かく
死臭が辺り一帯に充満する
胃がどくんと一回大きく振るったその瞬間
吐き気と立ち眩みがクロードを襲った
「うっ……」