先生
部屋に入って、グラスにお茶を注ぎ、理恵に手渡す。


その時、一瞬だけ触れた彼女の手。


俺は、それだけの事に心臓が騒ぐ。


初めて君に触れた時を思い出してしまって。


「また行こうな。」

そう言って、その柔らかな髪をクシャクシャと撫でた時、細い茶色い髪が、俺の手に絡む。


かなり乱れた頭に、俺は馬鹿みたいに笑ってしまった。


スゲー可愛くて。


でも、乱れた頭を直しながら怒る君が、あまりに愛おしくて…自分のものにしてしまいたくて…。


君の唇を奪ったんだ。


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