先生
私と美咲は、後部座席に座った。


「取りあえず、場所移すからな?」


車はゆっくり動き出す。


「美咲、利規君と何が有ったの?」


美咲の背中を摩った。


「利規にね?
好きな人がいたの。同じ大学の、同じ経済学部に…。

別れて欲しいって。
何かね、文句の一つも言ってやりたかったんだけど、言えなかった…。

「彼女を愛してる」だって。

私には、好きしか言ってくれなかったのに……。」


また零れ落ちる涙に言葉が見つからなかった。


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