先生
学校に帰ってまた仕事。
三年の担任は、やる事がいっぱいだ。
車を降りようとしたら、助手席に何か落ちていた。
「何だ、これ。」
拾い上げて、よく見てみたら、小さなクマのキーホルダー。
紐が切れてるし。
飯塚の?
スーツのポケットに入れて、校舎へと。
下駄箱で新田先生と会った。
「あれ、村上先生お出かけでしたか?」
体育教員って、何で笑顔が爽やかに見えるんだろ。
「あ…、飯塚を家に送ってきたんですよ。
あの足じゃ、歩くのしんどいですからね。」
「お疲れ様ですね。生徒思いなんですね、村上先生は。
じゃ、僕は陸上の監督してきます。」
靴を履くなり、軽快にグランドに向かって走って行った。