Kissシリーズ・「ホワイトデーのキス」
友達はバスに乗らなくなったことを不思議に思っているようだけど、言えるワケがない。

なので毎日、必死で極寒の中、自転車をこぐ。

おかげで痩せてきた気がする。

このままバスに乗らなくても、自転車通いを続けても良いかもしれない。

もしかしたら…一ヶ月前のバレンタインで、彼には彼女ができたかもしれないし。

仲良く恋人でバスに乗られちゃ、それこそ窓から飛び降りそうだ。…わたしが。

にしても、今思い出しても顔から火が噴出しそう。

告白にもいろいろあるけれど、アレだけはないだろう!

「はあ~」

ため息が白くなるこの季節、頭がすぐ冷えるのは良い。

…おかげで次の動きもすぐに対処できる。

でもさすがに帰りは寒いなぁ。

途中、コンビニでも寄ろうかな?

コンビニのディスプレイはすでにホワイトデー一色。

バレンタインデーにはチョコと決まっているけど、ホワイトデーはキャンディーだったりマシュマロだったり、最近はいろいろ出てきている。

でもわたしが貰うんだったら、やっぱりキャンディーがいいな。

フルーツ味の、甘いヤツ♪

…貰うアテはないし、自分で買おうかな?

沈んだ気持ちのまま、上り坂にかかる。

行きと違って、帰りの上りは緩やかだ。

座ってこいでも大丈夫なぐらい。

そして、今度の下り坂はとんでもない。

だから今度は足を閉じて、身を縮ませ、スピードに身を委ねる。

下手に何とかしようとすると、コケる可能性があるから。

そうして慎重に下ったところで、一度自転車から降りて、深呼吸。

< 4 / 6 >

この作品をシェア

pagetop