散らないサクラ
「げほっ、ああ、吃驚した」
その後、少しの沈黙。
「まじで?」
「大真面目」
「……卒業したいのか?」
まあ、それもある。
俺はとりあえず頷いた。
そんなに意外なのだろうか、俺が学校に行く事が。
確かに今年で高校3年を3回やる俺が言っても説得力がないのだろうが。
俺は自分で吐いた煙が天井に消えていくのをじっと見た。
ああ、でも佐倉の時の反応よりもまだマシか。
チームを抜けると決心し、それからすぐ佐倉にそう告げ、夏休みが明けたら学校にも通う事を告げた。
驚いて欲しかったわけでもねぇし、喜んで欲しかったわけでもねえ。
だけど、あいつはいつもと変わらない顔をして一言。
『ああ、そう』
それだけ。
呆気に取られたと言うか、拍子抜けしたと言うか。
ま、これがあいつだよな、って妙に納得もした。
それから学校の事には一切触れてこなかったし、ああ、勉強に付いてこれるように予習しとけ、とは言われたな。
教科書をどっさり置いていきやがったが、一ページも開いていないし読んでもない。
んな、面倒なことするか。