散らないサクラ
Cherryblossoms...08
cherryblossoms...08
不愉快極まりない雑音と、耳障りな声。
俺は目の前にいる人間を殴り倒したい衝動に駆られながら、奥歯を噛み締めて堪えた。
――――時は夏休み明け初日。
「進級当初から来てなかったから、一応挨拶しとけって」
はい、挨拶、と呑気に俺の隣で笑う佐倉(更にイライラが募る)。
俺は宣言通り、黒王学園に復帰した。
着る度、拘束感を覚えた学ランに袖を通し、ダボダボのズボンをはき、校門を通った時から此処にきた事を後悔した。
……うぜぇ。
空気にしろ、俺を見る目にしろ、小声で話す女どもにしろ。
何もかもに心臓が破裂しそうなくらいムカツク。
そして教室に入っても、同じ事。
俺はかみ殺す勢いでクラスを眺めまわし(睨んでいるとも言う)、口を開く。
「獅堂秋羽」
声を発しただけで、数人がひっ、と言う単発な悲鳴を洩らした。
聞こえてくる“血塗りの獅子”と言う単語。
胸糞悪い。