散らないサクラ


「……あたし」



大きく開かれた目のまま、原沢が口を開く。



「佐倉先生に助けてもらったの。特待生でこの学校に来たんだけど、この前インフルエンザにかかってテスト受けられなくて……。特待生ってね、学年でトップじゃないとすぐそれを剥奪されて学校にいられなくなるんだ」



その後に続く話を、俺はなんとなく予想できた。



「校長先生がテスト受けられないのはトップにならないのと同じだって、あたしから特待生を剥奪しようとしたんだけど……。先生が、それを止めてくれたんだ」

「……あいつらしい」

「先生に感謝してるし、だからアンタの世話係を頼まれた時、承諾したんだ」



だろうな、と鼻で笑う。

誰も好んで“血塗りの獅子”なんかの世話係を受けようなんて思う奴はいねえ。

原沢は大きく開かれた目を、緩めた。



「その時、先生言ってた。……“目つき悪いし、金髪だし、口悪いし、身長デカイし、全体で見れば噂通りの最低野郎だ”って」



くそアマ(絶対いつか、絶対! 一発いれてやる)!




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