散らないサクラ
俺はそれを更に見下したように笑う。
「はっ、上等。……何年、何十年かけても手に入れてやるよ」
勝ち誇ったように宣言すると、疾風はガキみたいに笑った(こういう顔も似ている)。
そして安心したような、期待したような、どちらにしても穏やかな顔が俺を見た。
「……姉さんを幸せにしてくれる?」
窓から柔らかな風が踊りながら俺たちの前を通り抜ける。
優しく、まるで弥生の抱擁を想像させるかのようなそれは俺の心まで穏やかにする。
俺は肯定の代わりに、薄く微笑んでみせる。
幸せにできるか、それは未来の俺にまかせる。
今はその幸せの為になにができるか考えて、そして実行していくだけ。
意志は硬く揺らがない。
なぁ、それほどお前を想っている。
俺はアンタを心の奥底から愛している。
だから、アンタを知りてえよ。
――――弥生。