散らないサクラ
コスモスの輩は全員そのチームに入ったらしい。
これも歩の人望の賜物だ。
よくよく考えて、餓鬼の俺を副長として支えてくれていただけある。
……こいつにもいつか礼の言葉を言いたい……、いつか(いつになるやら)。
「……はは、やっぱ秋、お前、丸くなったなぁ」
「…………ああ」
それには素直に肯定しておく。
もちろん、いい意味で、だ。
「長年ダチやってけど、今のお前、すっげーいいと思う」
屈託のない笑顔が俺を照らす。
その顔に餓鬼ながらも歩を大事に思っていた気持ちがあったんだと気づかされる。
……俺はいつも大事なものに気づくのが遅い。
自嘲気味に笑みを漏らしながら歩を見る。
「佐倉さんのお陰だなぁ。……や、俺は安心した」
「ンだそれ」
まるで親みたいに感慨深く言うもんだから、思わず吹き出して笑う。
穏やかで、まるで子供の成長を微笑ましく思うようなそれに嫌な気はしない。
「ん、ホント良かった」
言葉とは裏腹に歩の表情に影が指す。
安堵している響きの他に、何かを隠す色があるのを見抜く。
相変わらず嘘を付くのが下手だと思う。
そしてそれを見抜く力が俺にある事を早く気づけと、言いたくなる。
何年てめぇといると思ってんだ。
「歩、お前」
「みぃっけた」
何を隠している、と聞こうとする声を遮るもうひとつの声。