散らないサクラ
「納得してもらった」
「そか、んじゃ本題に入るか。番犬の話では仕掛けてくるのが12月の半ばらしい。今が10月だから、二ヶ月半後だな」
「随分と時間が掛かるじゃねえか。もっと早く仕掛けてくると思ったけどな」
「それは獅子が参戦することを仏側が知ったからじゃない?」
番犬の言葉に歩が同意するように頷く。
自分の戦力がそれほど大きいものかと問われれば疑問だが、仏からしてみて“血塗りの獅子”が参戦するのは予想外のようだ。
まあ、期間が伸びれば伸びるほど此方としても作戦を練りやすい。
戦争をするなら策略も一つの勝利への道だ。
「ハデスとウチの情報を合わせて、腕っ節の強い奴らをピックアップしたよ。……どうやら仏に“トップ”はいない。統率者がいないから、動きが自由過ぎるのが難点だね。命令がないからそれぞれが好きなように動ける。ま、その反面、まとまりがないのがなく、連携が取りづらいのが弱点かな」
「総勢でどれくらいいる?」
俺の問いに番犬が脳内の情報を引き出すように、指で頭を軽く叩く。
「ん……、500は超える。だけど今回の獅子の参戦でもう100、200は増える可能性も捨てきれない」
「やっぱり全ての町を制するとそれだけの数になるよな」
出てきた数字に歩が苦い顔をする。
「対する俺たちの数は、ハデス、ケルベロス、リオンその他のチームを合わせて……なんと! 250です」
番犬の相変わらずの呑気な声に場の雰囲気は締まらねえ。
だが情報は確かだろう。