散らないサクラ
俺の存在意義なんてずっとねえもんだと思ってきた。
例えあったとしても、それは母親への罪滅ぼしだとか、場違いな事を考えるに決まってる。
だけど、俺がてめえらの何か“生きる理由”になれていたなら。
“目指す目標”になれていたなら。
それは、確かに俺にとっての“生きる理由”だった。
俺の存在価値だった。
手に入れていたそのものを、今更ながらに実感するとは。
「……コスモスの最後、華々しく散らしてやりましょうよ」
小さく呟かれた言葉には煮えたぎる熱い決意が滲み出る。
なぁ、まだ言葉にできねえけど。
俺はお前らと共にコスモスにいれたこと、その当時は大事にしてやれなかったが、てめえらと暴れまわった時間、無駄に過ごした時間を、誇りに思う。
くだらねえ理由で傷つけてしまった輩たちもいただろう。
そんな餓鬼で自己中心的な奴に、最後まで付き合ってくれて、
――――ありがとう。
この喧嘩に勝利を飾れたその時は、……伝えてみるか。
心の中で呟いた思いに多少なりとも恥ずかしさを覚え、苦笑する。
そんな思いを紛らわそうと曇天から笹切に視線を戻し、にっと、歯を出して笑う。
「ったりめえだ。……派手に楽しもうぜ」
「はい!」
俺の最後を飾る最高の舞台じゃねえか。
今までしてきた喧嘩のどれよりも高揚感を覚える。
ただ単に興奮や破壊的心情だけじゃなく、心の奥底から仲間と喧嘩ができる今日に喜びを感じる。