散らないサクラ
「一週間に必ず3回はさっきみてぇな発作が起きるようになった」
初めは死ぬほど苦しくて、目の前は真っ白に染まるし、その後には真っ赤になったあの人の手が追ってくる。
いっそこのまま殺してくれと、何度もそう思った。
俺専用の医者からは“体には異常はなく、精神的から来るものでしょう”と診断。
だが、俺の後ろについているのは最大規模の医療機関。
すぐに発作を抑えるための薬が開発され、今ではその薬さえ飲めば発作は起きなくなった。
「じゃあ、さっきの発作は久しぶりだったわけだ」
「ああ」
「薬は? 飲んでなかったの?」
「いや」
飲んだ。
欠かす事無くいつも飲んでいる。
だが、佐倉の凛とした女の表情と、拳から零れていた鮮明の赤色。
女の血と、凛としたあの人を連想させるような雰囲気が、俺の五感を狂わせたのだと思
う。
ばばあと佐倉がリンクして、俺の心が乱れたんだ。