散らないサクラ
本能が歓喜の声を上げる。
早く、ハヤク、興奮の元にツレテッテクレ。
どくん、心臓が唸る。
近藤の背を追いかけ、その場所に着くと歩、ハデスの幹部がいた。
「おせぇよ、獅子」
ハデスの副総長が茶化す様に笑う。
「っせ、こんなンに手こずってンじゃねえよ」
「秋、笹切が今情報を集めてる。……こいつら一筋縄じゃいかねえ」
歩が隣に並びながらも、緊張の瞳を仏に向けている。
唇は切れ、血がじんわりとにじみ出ているのを確認すれば、相手が相当な力を持っている事が伺えた。
目線を仏に向ける。
相手の数はざっと10人程度。
好機を伺っているのか同じように敵意丸出しの目を向けてくる。
そして俺が来た事によりそれが更に高まったようだ。
“血塗りの獅子”と言う言葉が微かに聞こえる。
番犬、ハデス、コスモス、その幹部が集結する。
その様は驚く程異様で異端で、そして心強い。
心臓の底から湧き上がる闘士。
血のざわめきが全身を奮い立たせる。
「笹切を待ってる間に、あいつら仕掛けてくンぞ」
幹部連中に聞こえるように声を張る。