散らないサクラ
誰かの為に行動する事の強さ。
思う気持ち。
そのどれもが重たく、辛く、痛く、そンですげえ綺麗な色をしている。
そして、目の前の仏。
こいつの弟を思う気持ちは綺麗な色をしている。
不安定にふらふら揺れてはいるが常に暖かい温度をしている。
だから、正々堂々戦いたいと思った。
柄にもなく、応えたいと思った。
俺自身、いろんな人間に与えてもらった温度も暖かい色を知っている。
少しずつでいい、その温度も色も俺は誰かに与えたい。
どんな結末でもいい。
その結末の先が光であるならば、続く道は明るいことを俺は知っている。
「……大山、大山真武(おおやままなぶ)だ」
仏、いや、大山はそう言って穏やかな笑みを見せた。
「大山、本気で来いよ」
意地悪く口角を上げる。
「後悔すンなよ」
同じような笑みを返される。
血が、ぶわっと沸く。
大山と俺、個人の喧嘩が始まった。