散らないサクラ
俺は糞じじいは殺したいほど憎んでる。
でも、母親はそうじゃない。
憎んでる?
いいや……、そんな事はない。
むしろ、
―――イッショニイケナクテゴメンナサイ。
「自分の気持ちにも気づいてなかったのかぁ、お前は? アホだね、どアホ」
諭された事に驚いて、その言葉は耳から耳へと流れ落ちた。
確かに、俺はあの人を憎んでいたことはない。
むしろ自分勝手な父親に一生懸命愛想を振りまいていたあの人を、助けたいとさえ思っていた。
あの時、俺だけ生き残ってしまって悪かったと、そう、ずっと感じていたんだ。
だけど追う術を考えたらあの痛みがぶり返してきて、恐怖心でいっぱいになって、結局ずるずるここまできてしまった。