散らないサクラ
Cherryblossoms...15



Cherryblossoms...15



最近考える事がある。




もし、あの日、母親が心中を試みなかったら。

もし、あの日、歩が喧嘩を吹っかけてこなかったら。

もし、あの日、コスモスを立ち上げなかったら。



――――もし、あの日、桜吹雪と共に佐倉弥生が俺を迎えにこなかったら。



ifの世界、たられば、そんな事を考えてもどうしようもない事も、俺らしくない事も、分かっている。

それでも考えてしまう。

あの日、あの時、あいつらと出会っていなければ、今の自分はここにいない。

そう思えば酷く恐怖心を掻き立てられ、息苦しさも覚える。

そして、今の現状に酷く安心するんだ。



ああ、そうだ。

ぼんやりと浮かんでくる記憶の点は1つとして省かれることなく線でつながっていた。

考えれば考えるほど珍妙にも思え、そして同時に暖かくなる。




最終的にたどり着くのは、俺は生きている、と言うこと。




単純で、愛おしい確証。




< 280 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop