散らないサクラ
あ、おとうさんとおかあさんはなまえでよんでる。
「弥生は泰雅にとってお母さんでも俺にとってお母さんじゃないからな」
「秋を父ちゃんって? ぷ、秋を父ちゃん、ぷぷ」
っていってた。
はなしがずれちゃったけど、まとめるとおかあさんはおれのほんとうのおかあさんじゃないんだとおもう。
* * * * * * * * * * *
「泰雅! おら、泰雅! 起きろ、幼稚園遅刻するぞ」
おおきいてがあたまをなでる。
おとうさんのてだ。
ねむいめをこすりながら、おれはおとうさんにだっこされてせんめんじょまでいく。
かおをあらってふくをきがえて、ごはんをたべる。
ごはんとおさかなと、みそしるとおひたし。
うん、おいしい。
「おとうさん、おかあさんは?」
「ん、と。弥生は泰雅が寝た後、じいちゃん家行った」
「ふぅん」
しらないうちにくちびるをとがらせていた。
「またおじいちゃんのいえだ……」
ぼそり、とつぶやくとお父さんがやさしいかおをしながらあたまをなでる。
「じいちゃん、泰雅に会いたいって。俺のじいちゃんには会ってるけど弥生のじいちゃんには最近会ってないだろ?」
「おかあさんをとるおじいちゃんなんかきらいだ」
あ、はながツーンとなって、めがしらがあつくなってきた。
めのまえがゆがんでぼやぼやしてきた。