散らないサクラ
Cherryblossoms...01
Cherryblossoms...01
暗闇に沈む影。
飛び散る赤色が鮮明に瞳に映し出させる。
「……ぐっ……、げほっ……げぇ」
コンクリートに落ちた塊の顔が苦しそうに歪む。
滑稽だ。
無様すぎて笑いすら出てこない。
「死ねよ」
口の端を吊り上げて不気味に笑って見せると、塊の顔が今度は恐怖に歪む。
「ひっ……、だ、……っだずげ……だずげで……っ!」
「助けてだぁ? てめえ、自分から突っ込んできて命(たま)取られる覚悟もねえのかよ」
ふっ、と鼻で嘲笑うと渾身の力を込めて、右足の踵で許しを請う塊の顔を蹴り上げる。
びちゃり、と塊の口から赤い液体が飛び散る。
ビクンビクン、と何度か塊が震えると、全身の力が抜けコンクリートにへばりつく様に動かなくなった。
勝敗が決まる。
「汚ねえ」
拳についた赤色に不快感を覚える。