散らないサクラ
Cherryblossoms...04
Cherryblossoms...04
「ぶっ!!」
皮のソファに踏ん反り返ってお茶を飲んでいた俺は出てきた佐倉の恰好に盛大に噴き出した。
びちゃびちゃ、と床にお茶が垂れる。
「……おい、てめ、佐倉。俺言ったよなぁ、てめえに惚れてるんだって」
「ああ、聞いたね」
「そんな恰好で出てきて、襲われても文句言えねえぞ、ボケ!」
佐倉が出てきた部屋はバスルーム。
佐倉が住んでるという部屋(については後で説明する)に案内され、風呂に入ってくると言われたのが30分前。
そこまではいい。
問題はそこから出てきた佐倉の恰好。
好きだと告白した男の前にバスタオル一枚を体に巻いて、出てきやがった(俺の理性を試してるのか?)。
バスタオルから伸びた細くて綺麗な足だとか、風呂からあがって熱っぽい体だとか、この女、据え膳をくらわす気か。
俺が口からこぼれたお茶を拭うと、佐倉は声を出して笑った。
「きったないのー! ちゃんと床拭いとけよ」
頭をガシガシとタオルで拭いて背を向けた佐倉。