散らないサクラ
「あたしね、実家が組なの。ああ、極道ってことね」
「極道」
「そ。長女だったし、組を背負って立つ戒めで掘ったんだけどね」
今はそんな大層な意味はないよ、そう言って佐倉は乾いた笑いをした。
極道。
話だけの世界。
チームを立ち上げる事になって、連中には手を出してはいけないと言われた。
チームを遊びで作っていたわけじゃないが、極道と言う人間たちに遊び半分で手を出すな。
あの人たちはホンモノだから、と。
何がホンモノなのか偽物なのか、俺には理解できなかったが、今なら少し分かる気がする。
こいつが背負ってるオーラとか、そのオーラに見合った実力だとか。
言葉一つ一つの重さだとか……、すべてに芯が通っている。
“極道”、アンタにぴったりじゃねえか。
自嘲気味に笑うと佐倉は眉を寄せた。
「……ねえ、秋羽」
俺は佐倉の背中に指を置いたまま、佐倉は顔を正面に戻したまま。