散らないサクラ


眉を寄せ、佐倉の言った言葉を噛み締めると、佐倉は小さく笑って、俺の金髪を梳いた。



「ほら、んなことよりも、アンタには考えることがあるだろ? 総長としての、大仕事をさ」



佐倉はニカっと笑って最後に俺の金髪をぐちゃぐちゃにかき回すと、俺に背を向け、自分の部屋と思われる扉の奥へ消えていった。



「……っせ」



呆然と立ちすくわけにもいかず、ソファに身を沈めると何回か大きく深呼吸をする。

そして窓の外に広がる空を眺めた。




バイクに乗って数十分、10階建てのマンションの最上階(佐倉もバイクだった)。

そこが佐倉の家だと言う。

だが、家賃は払っていないらしく、ルームシェアしている人が学生時代の友人なのだとか。


“そいつは金持だし、ルームシェアしてくれって言ったのはアイツだし、ね”、と悪気もなく恩も全く感じられない言い方で告げられた時に、俺は少し後悔した。


入ってみて清楚感のある玄関や、床、壁を見る限り新築だろうし、きっと家政婦なんかが来て掃除をするのだろう。


部屋は佐倉の部屋と、ルームシェアの人、そんでリビング、風呂。

俺はどこで寝るんだ、と聞いたら躊躇なくリビングと言われた時には、一発ヤッてやろうかと思った(抑えた俺を褒め称えろ)。






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