散らないサクラ
じんじんと、まるで痛みを感じたかのように熱くなり、喉から顔にかけてそれが浸透して熱くなっていく。
んだ、コレ。
喉が、胸が、瞳が、苦しい。
手が、足が心臓が、震える。
俺は守っていたのか?
いつも自分のあるがままに動いていた俺が……、ちゃんと何かを守っていた?
全身に脈を打っている血筋を感じながら、俺は呼吸を確かめた。
俺は、誰かのために動いていたことなんて、はたしてあったのか?
いや、ねえ、そんなのねえよ。
なのに、俺は守っていた?
次々湧いてくる疑問に佐倉を見ると、佐倉はふっと笑って俺から手を離し、俺の後ろを遠く眺めた。
そして、その遠くに手を振ると口を開く。
「歩」
その声に、俺は反射的に後ろを振り向く。
少し遠くに松葉づえを突いて歩く歩の姿があった。
俺は一瞬目を瞠り、すぐに顔を戻す。