人形選択
第一章 * 人形選択
人形選択 [ドールセレクション]
第一章 * 人形選択
一枚の手紙が、俺の家に届いた。
ーーーー瀬戸 響様
おめでとうございます。
貴方は今回の五人限定、ドールセレクションの一人に見事選ばれました。
この手紙が届いて十日以内に地図に記している場所までお越しください。
素敵なドールが貴方を待っています。ーーーー
何だ、これ。
俺は白い封筒に入っていた手紙を怪訝そうに見つめた。
ドールセレクション? 選ばれたって……そんなのに応募した覚えはないぞ。
白い封筒の中にはまだ数枚の紙が入っていた。
最初に読んだ手紙にも書いてあった地図と、ドールセレクションというやつのチラシらしきもの。
俺は地図を後回しにチラシの方へと眼を向けた。
ーーーードールセレクション
今世界で絶大な人気を誇るドール達を無料でプレゼント!
感情、思考、性格などを持ち合わせている彼女達をどう使うかはあなた次第。
あなた様にあったドールが見つかりますように……。ーーーー
……意味が分からない。
傷みまくっている髪を掻きむしった。
でも、この手紙が何なのか、ドールセレクションとはどういう意味なのか凄く気になる。
あまり面倒事に関わるのは好きじゃないけど、このままドールセレクションとやらを放っておけば眠れなくなりそうだ。
「行って……みるか」
……瀬戸 響(セト ヒビキ)。
生まれて十九年間、こんなに胸がざわついたことはない。
それもこれも、三日前に俺の元へ届いた手紙が原因だ。
ーーーー素敵なドールが貴方を待っています。
チラシに書かれていたドールセレクションの説明では全く意味が分からなかった。
絶大な人気がどうたらとか書かれていたけど、ドールなんて俺は初めて聞いたぞ?
もしかしたら誰かにからかわれているのかもしれない。
からかわれているならそれでも良い。
ただ、今俺の目の前に雄々しく建っている洋館が、冗談なんかではないと物語っている気がしてならなかった。