ユビサキからあなたへ
こんなに学校にいたくないと思ったことが今まであっただろうか。
一人で家にいた方がまだましだ。



体中がやけに重い。

頭がぼーっとする。

寝てないんだから当たり前か。



自分の部屋から現実に引き戻されると、気づいてしまう。

今日もいつもの時間に家を出て、
いつもの時間の電車に乗った。
毎日の授業、メシ、部活…
みんな学校の友達に囲まれて過ごす時間だ。
登場人物に恵の名前はない。


恵と別れても何一つ変わらない生活の中で、恵がいなくても生きていける自分がいる。

それを再確認してしまう。



枯れ果てたはずの涙が、またどこからかこみあげてきそうになった。
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