ユビサキからあなたへ
「奪い返さねぇのか?」






「えっ?」


ドキッとした。


“奪い返す”という悠の言葉がナイフのようにも感じたからだ。



取られたら取り返せってか。



それは一晩泣き明かしても、不思議と辿り着かなかった考えだった。



確かに、まだ恵と池上は付き合ってるわけじゃない。

恵が俺のことを完全に嫌いになったわけでもない。

キスで揺らぐってことはそういうことだ。

奪還は不可能なことじゃない。
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