拝啓、優しいあなたへ



俺の地元は、港町。




漁師が多くて、もちろん俺の親父も漁師。




小さな町ってのもあって、町で知り合いがいないほど、温かい町。






隣の家の、佐々木の親父に呼ばれて船に乗ると



確かに、網の中に魚と一緒に瓶が絡まってた。








『ゴミかな?』





複雑に絡んでる網を丁寧に解いていく。





「なんか、入っとらんか?」





大崎の親父が興味津々に瓶を見つめる。






『あ、ホントだ』




瓶のふたを開けて、中の物を取り出すと、そこには紙。






『手紙?』




少し滲んでて読みにくいとこもあるけど、確かに手紙だ。






「へー、今の時代にそんなことする人もおるんやなー!」





大崎の親父がそう言うと





「確かになー、昔俺もやったわ!」






佐々木の親父がそう言った。








俺も、聞いたことある。





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