HEART
その後、どうなったかは覚えてない。気がつけば友達と別れて聖斗と待ち合わせをしていた公園へと来ていた。
「…こんな、時間まで居るわけないか」
今も尚、綺麗に降り注ぐ雪がとても冷たく感じる。手を差し出すとあっという間に手が真っ白に染まった。
凍てついてしまえば良い。皆最初から無かった様に消せばいい…。
幻想的な雪景色は更に心を壊してゆく。
「…聖斗」
ポツリとあたしが呟いた時だった。背後に人の気配を感じたのは。
「おっせ―んだよ、お前」
振り向くとそこには何時もと変わらない無邪気な笑顔で笑う聖斗が立っていた。体を小刻みに震わせながら。
この寒空の中何時間、君はあたし待ってたんだろう。
「ご…めん」
―好きだよ、と言う資格があたしにはもう無いことくらいわかっていた。ただ謝るしか出来ない。
「別に、来たからもう許す。…俺の話、聞いてくれるか?」
小さく頷くと、聖斗は紫色に変わった唇をそっと開いた。