HEART
「俺さ、やっぱお前が好きだよ。お前の父親が死んで、一緒に暮らす前もずっと好きだった。…苦しいくらいに」
消え入りそうな声で言う聖斗にかけてあげられる言葉を頭で探しても、見つからない。何で、あたしなの?
「振られたけど俺これからもずっとお前と同じ家に住んでる訳だし、話せなくなるのは嫌だ。愛して欲しいとか言わんから、何も望まんから好きで居させて―」
寂しい、とそう彼の瞳が叫んでる様に見えた。あぁ、そっか。寂しいのはあたしだけじゃなかったんだ。
…誰も愛さないで、きっとずっと彼はあたしだけを見てきたんだろう。本当にこんなギリギリになるまで必死だった。
あたしは、傷つけたくない。君だけは。
「無理だよ。あたしはもう誰も傷つけたくない…っ、聖斗の側に居て良いのはあたしじゃない…!!」
自分の中の気持ちを消すかの様に、叫んでた。違う、違う…聖斗の側に居るべきなのは自分じゃないと―。
過去の映像が心を狂わせた。何度も、何度も泣き叫ぶ父が向けた憎しみの瞳、それはあたしに向けられてる…。
「結局…お前も綺麗事ばっか。傷つけたくないとか言ってるけどもう俺は充分お前のせいで傷ついてんの!お前のせいで俺が傷ついてんなら意味ねぇじゃん!」