HEART
「あのさ、いい加減話してくんない?1人であんな所に居た理由」
ブラックのコーヒーを飲みながらあたしの嫌いなあの笑みを浮かべてまた聞いてくる。
…怪しい人じゃない事はわかってるけど全てを話せるほどでも無いし。ただ無視する事しか出来ない。
「どうせ幼なじみの奴の事だろうけど」
深くため息をつきながら言われた言葉に思わずあたしは心臓が飛び跳ねそうになった。
「何で聖斗を知ってるの?」
もしかしてこいつは…ストーカーじゃないかという疑問が湧き上がりまたまたそいつを睨む。
「知らないの?俺お前と同じ学校の三年。通学路で良く君達見かけるんだよね」
「…え」
正直言ってその人の姿は学校で大人気の"あの人"に似てたけど本人だとは思わなかった。
あたしが、誰も信じなくなった原因。
「水月…先輩」
きっと先輩はあたしの事なんか忘れてる。何時までも引きずってるのは…心が、弱いから。