HEART
水月先輩になら全てを話して良いと思った。だからあたしは全てを打ち明けたんだった。笑えないのも、泣けないのも。

……………………………

「ふ―ん。じゃもう今日は家に帰りたくないわけ?」

話を全部聞き終わると先輩はコーヒーを一気に飲み干した。

「悪いけど、携帯見ろよ。さっきからずっと震えてるし」

言うとおりに携帯を開くと確かに受信メールが30件、着信が17件と表示されてる。…全然気付かんかった。

急いで携帯の画面を見ていくと全部聖斗からだった。受信メールも全部聖斗からで…心配してるんだと思った。

「良いんです。もう、あたしあの家には帰れないし…」

水月先輩の瞳があたしの心にグサグサと氷の剣を突き立てる。もうあたしはあの場所へ帰れない。

「だったらさ…」

一体水月先輩にあたしは何を期待していたんだろう。

「俺の家、住んでも良いよ。ただし一度荷物取りに帰ってからな」

「本当…ですか?」

顔は知っていても彼女でも無いのに一緒に暮らして大丈夫なんだろうか、と疑問が少しわき上がった。

…ってか水月先輩のファンに殺される!

あたしはとりあえず良い方向に考えて、頷いた。理由を聞こうと思って口を開くとその前に先輩が

「せめてもの罪滅ぼし」ととびきりの笑顔で笑うとテーブルの上にお金と何かのメモを置きカフェを出た。

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