HEART

目を覚ますと、隣には何時もと違う聖斗の顔があたしをのぞき込んでいた。

「…どうしたの?」

寝ぼけて昨日の記憶が無かったからふと手に持ってる荷物を見て、ようやく思い出して真っ青になった。

あたし…結局聖斗から離れること、出来なかったんだ。水月先輩がせっかく一緒に暮らそうと言ってくれたのに。

「その荷物、何」

普段よりずっとずっと低い声で荷物を指差しながら言う。…嫌な、予感が的中してしまった。

「傷つけられないから、終わらせようと思った。でも出来なかった。ごめんね。でも終わらせるから…バイバイ」

一方的に事を済ませようっ思ったあたし。それでもこんなあたしを好きといってくれた君。

ありがとうしか言えない…。

「何で…だよ!行くなよ。俺…お前が居ないとダメなんだ…本当は強くも優しくもない…ただ涙が好きな思いだけしか俺に誇れるものは無いんだよ」

綺麗な涙を流しながら繋がれてた手を強く握りしめる。ポタポタと、手の甲に落ちる涙は暖かかった。

確かにあたしが君から離れる理由は君があたしを好きだから。でもどうせいずれは別れが来る。

「何…言ってるの?血は繋がって無くてもあたし達は兄妹なんだよ…!?」

だから、現実に引き戻してあげるよ。

過ちを犯した事にすら気づかない愚かな優しい優しい"お兄ちゃん"を―…。

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