HEART

「何か用?」

冷たい視線を投げかける水月先輩は、この前とは別人の様に思えた。私が行かなかったから…。怒らせたのかな。

「せっかく昨日は言ってくれたのにごめんなさい。でもあたし、に好きな人が出来たらあたしは出ていくと約束しました」

先輩は何も言わずあたしの頭をクシャクシャと撫でると笑ってこう言った。

「何時でも来い。俺ずっと待ってるから」

「はい…!」

例え血を分け合った人はもうこの世に居なくても、帰る場所はある。…あたし、この人を好きになれば良かった。

何も言わず去っていく君を引き止める理由なんて無かったから…。

HRの始まりを告げるチャイムが鳴り、急いで教室のドアを開けた。

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