HEART

…サァッとふいに、冷たい風が頬を撫でる。何故か屋上には今一番会いたくない聖斗が居た。

…何するつもり?と目で訴えると先輩は何も答えずニコリと笑う。

「久しぶり、聖斗」

まるで親しい友人かの様に喋りかける様子に寒気がした。聖斗が以前に先輩と話してる所なんて見たこと無かったし。

「ってか同じ学校やのに"久しぶり"は酷いな。何で涙連れて来たん?」

「…さぁ?こいつお前に言いたい事有るらしいぜ。なぁ、涙」

…呼び捨て!?まさか…まさか本当は覚えてんじゃ無いの?外見は相当変わったけど中身は昔のまんまだし。

「結が聖斗の事好きだって」

「違うだろ」

正直に言うと先輩が頭を叩いてはぁ―とため息をつく。何かキャラが違う。

「涙はお前の事が好きだって」

何も言葉を発しなくなったあたしに代わり、先輩が発した言葉にあたしは思わず叫びそうになった。

…逃げようとして屋上のドアを開けると聖斗に呼び止められる。

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