HEART

「…それ、本当か?」

聖斗の心底驚いた様な声に胸が締め付けられそうだった。期待させちゃいけないのにまだ好きと言いたくなる。

「昔は、ね。でも今は好きじゃない。あたしは―…」

その言葉の次を発するのに一瞬躊躇ってしまったのは何故だろう。

「水月先輩が好きなの」

あたしが初めて君についた嘘…だった。本当は信じないで居て欲しかった、君だけには。

「…っ…わかった」

…聖斗が泣いてる。あたしの愛しい人。この恋を壊すために、あたしは君を好きになったんじゃないのに。

ふと嘘だと言いかけた瞬間、目の前が真っ暗になった。水月先輩があたしを抱きしめたんだろう。

「見るな。これ以上あいつの泣き顔みたら涙が傷つくだけだし…」

…聖斗、聖斗。…最後だね、きっとこれで聖斗と逢うのは。だからせめて言わせて…ね?

「大好きだったよ。バイバイ」

その後…屋上のドアが閉まる音がして視界が元に戻るとふと頬に何かが流れていた。

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