HEART

「…ごめんな」

それはさっきまで抱き締められていた先輩の流した涙だった。あたしが涙を流せない代わりに、先輩は泣いていた。

「いえ、あたしは先輩に感謝してます」

それだけ言うと頭を下げて、あたしも屋上を出た。これ以上先輩の側に居たら弱くなってしまいそうだったから。

―本当はこのまま終わらせるつもりなんて無かったの。聖斗にはあたしを思い出にして欲しかった。

最後まで、好きで居て欲しかった。今まで近くに居すぎたからあたし達はもしかしたら道を間違ったのかもしれない。

―…例えそれが、未来を変えても。

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